館長兼芸術総監督の少コラム「じんせい劇場」

 

2024年9月6日

今年の夏は酷暑にとどまらず、大型台風の接近、地震と、いくつかの自然現象が連なりましたが皆様の夏はいかがでしたでしょうか。当劇場にとっての夏は毎年盛りだくさんで、東海市子どものオーケストラの定期公演とそれに伴う2泊3日の合宿や集中リハーサル、東海児童合唱団は杉並児童合唱団とのジョイント・コンサートや遠征(今回は倉敷でした)、紅白歌合戦の出演者オーディション、2日間にわたって開催されるTOKAI ROCK FES.など賑々しく、私にとっても毎年夏は燃える季節(笑)となっています。8月も末になると「あ~夏が終わってしまう~」という寂しい気持ちが湧きおこり、9月に入ると「まだまだ夏は終わらないぞー」という悪あがきが始まります。一方で“芸術の秋”ともいわれる秋の気配もこれからすこ~しずつ感じられるようになりますので9月は夏の終わりと秋の始まりが混在する中々複雑な月だと感じます。それでも、今月は世界的ピアニスト、アンドラーシュ・シフ・リサイタル、バレエ「くるみ割り人形」のチケット発売もあり、これから劇場が迎えるドラマチックなウィンター・シーズンの先駆けとなります。あ~、やっぱり秋も冬も楽しみだ~!!

館長兼芸術総監督 安江正也

 

2024年7月20日

暑い日が続きますが皆様元気でお過ごしでしょうか。
劇場の事務所は3階にありますが、私のデスクは太田川駅側、つまり東側の窓のそば、言わば窓際にあるのですがこの季節は晴れていれば日の出時刻より日光が注がれ、出勤の時間には私の席ではしっかり南国気分が味わえる環境が出来上がっています(笑)
ともあれ、窓に面しているので太田川駅を眺めることが出来る、何かの事情で電車の運転が見合わせになると駅周辺が多くの立ち往生する鉄道利用者で見る見る混雑していくのがわかります。私も夏の季節に他の地域で何度か鉄道利用者として “見合わせ”に遭遇したことがありますが、暑さに身の危険を感じましたし、実際に周りの方の具合が悪くなったこともありました。この暑さでは屋外のどこにいても安心はできません。無いにこした事はありませんが、太田川駅で立ち往生してしまった時は、劇場の開館時間(9:00~22:00)であれば涼しい劇場内で待機するのも身を守る方法のひとつだと思います。暑い季節、どうぞご自愛のうえお過ごしください。

館長兼芸術総監督 安江正也

 

2024年4月23日

新年度を迎えて主催事業の新ラインナップが発表されました。
来年の開館10周年を控えて自称ピカピカのラインナップ、となりました。地域の皆様にひろ~い世界を体感してもらいたいと日ごろから願っておりますが、まさにその様に最善は尽くせたのではないかな、と自我自賛(笑)しております。新年度最初の主催公演は5月29日(水)開催の、平日ナイトシアター「大人の出会いの教室」~あなたが音楽と演奏家に出会う夜~です。ご出演の合田有里さんは名古屋フィルのヴァイオリニストで是非聴いて欲しいヴァイオリニストで、私も以前より注目していました。出演者のトークを交えた約1時間のプログラムで気軽にお楽しみください。また、声を大にして言いたいのが、「夜の劇場も良いですよ~!」ということです。  公演とは別に開館以前から取り組んでおります、市内全校小学4年生対象のアウトリーチ「出会いの教室」も始まりました。こちらも名古屋フィルの演奏家が音楽の授業でお話を交えた演奏を届けてくれます。年間で40回ほど実施しますが今年も目を輝かせる子どもたちの顔が見られるのが楽しみです。 それでは今年度もよろしくお願いいたします。

館長兼芸術総監督 安江正也

 

2024年3月21日

寒い日もまだ有りますが、日差しは少しずつ春めいてきている様に感じます。
年度末も差し迫り、劇場では主催公演のラスト・スパートに入っています。30日(土)に開催致します「名フィル&竹本泰蔵の巨匠作家のシネマ・コネクション」は”安江館長魂の企画!”などと謳っていますが、これは本当です!実はこの企画のベースは23年前に私が以前在職していたオーケストラで企画、制作したものがベースになっていて、それも竹本さんが指揮して下さいました。
事の始まりは、クラシック音楽史上で巨匠と言われる作曲家の映画音楽作品を紹介したいと考え、それならばいっその事映像と一緒に演奏しよう!と一念発起して着手したものですが、これが予想以上に大変で、使用可能な楽譜、映像の素材集め、権利関係のクリア、映像編集等々、実現までのハードルがいくつも有りました。
そして2001年1月にどうにか公演が実現しました。手前味噌ですが、今でも自分にとってベスト5には入る企画公演だったと思っています。それを竹本さんと「またやりたいね」という話になり凝りもせずに(笑)再構成したものです。前半はしっかりと映画音楽史上に残る名作の数々をお送りし、後半はコルンゴルトが音楽を書いた2作品「海賊ブラッド」、「ロビンフッドの冒険」とチャップリンへのトリビュート的な映像と音楽です。
前述の公演で使用した「海賊ブラッド」(序曲)、「ロビンフッドの冒険」(組曲)の編集映像は「前職のオーケストラで保管しているはず」と思っていたので連絡したのですが、何と見つからず(泣)、覚悟を決めてまたゼロから編集しました。編集しながら、凄い音楽が付くと映像は生き返るんだな、と改めて感じました。しかも、新編集の方が良い様な気がしています。
「魂の企画」だけに命を削る思いの作業でしたが、大ホールでオーケストラの生演奏で聴いて、見て頂けるのを想像するだけでわくわくしています。

館長兼芸術総監督 安江正也

 

2024年1月31日

新年を迎えて1か月経とうとしていますがいかがお過ごしでしょうか。年明け早々から石川県はじめ北陸では大災害に見舞われ、羽田空港でも航空事故が起き、とても「新年明けまして・・・」とご挨拶する気分になれずにおりました。
2011年の東日本大震災で当時私が住んでいた東京は放射性物質の飛来と原子炉再爆発への不安、電力不足による計画停電、数分毎に鳴り響く地震アラートの中で物理的にも精神的にも非常に暗いムードに包まれていました。そんな中でオーケストラと共に地方での演奏会に伺うと同情して頂いたり、プログラムに配慮を頂いたりしましたが、「通常の生活が送れる皆さんには一緒に暗くならないで朗らかに過ごしてほしい」というのが正直な思いでした。
さて、劇場は1月4日より開館し、フリースペースには多くの学生さん、練習室やホール等施設も多種多様な団体さんが利用して下さっています。また、1階交流広場では連日“交流パフォーマンス”が賑々しく催され劇場全体に活気が漲っています。私も今は被災地の1日も早い復旧を祈りながら自身の日常を朗らかに過ごしていこうと思います。

館長兼芸術総監督 安江正也

 

2023年9月9日

24日(日)の公演に先駆けて藤村実穂子について書き連ねております。
藤村さんとご一緒したオペラの数々、歌、演技、共に素晴らしいものでした。藤村さん以外の主要キャストはドイツ人、オーストリア人、フランス人など、本場のヨーロッパからの歌手が殆どでしたが、全く遜色ないどころか、圧倒的な歌で外国人歌手の誰からも尊敬の目で見られていました。藤村さんのインタビューで「キャリア初期にオーディションで落とされた直後に審査員から『歌だけなら誰よりも素晴らしかった』と言われ悔しい思いをした。音楽の解釈力で認められるしかないと発起し勉強した」という主旨のご発言を読んだ記憶がありますが、正にそういった感じでした。
前回のコラムでも書きましたがオペラ、クラシック音楽が外来のものであり、その中で日本人である事、の難しさは想像出来ます。しかしそれでも他の誰でも無く、藤村さんが選ばれるというのはもの凄い事だと思います。“全てを超越した歌手”それが藤村さんだと私は思っています。そして音楽、歌に対する“意識の高さ”も時に垣間見てきました。

館長兼芸術総監督 安江正也

 

2023年9月4日

藤村さんとはコンサートの他に、寧ろこちらの方が多かったと思いますが、オペラでご一緒する機会が多くありました。ドビュッシーの「ペレアスとメリザンド」、リヒャルト・シュトラウスの「ばらの騎士」、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」などです。
藤村さんは世界のトップクラスの歌劇場、音楽祭で活躍されているわけですが、それは、並大抵のことではありません。他の歌手と比較することは難しいと思います。というのは、藤村さんが日本人(東洋人)であるからです。
欧米のオペラ歌手の層は厚く、凄まじい競争です。多少名が知れた歌手だからといって易々と役が手に入るわけではありません。演出家の要求も高く、容姿も重要なポイントです。オペラの登場人物は殆どが西洋人、白人です。東洋人、日本人である藤村さんが選ばれるには圧倒的な歌唱が先ず必要だったことと思います。
そして、それを藤村さんは手に入れたのです。これは本当に凄い事だと思っています。その歌を是非9月24日に当劇場でお聴きください!  ~つづく~

館長兼芸術総監督 安江正也

 

2023年8月29日

藤村さんと初めて一緒にお仕事したのはもう20年近く前に遡りますが、それは私が新日本フィルハーモニー交響楽団の事業部にいた時の事です。
マーラー作曲の「大地の歌」のソリストとして音楽監督のクリスティアン・アルミンクから藤村さんの指名がありました。クリスティアンはウィーン出身ですが、当時チューリッヒに住んでいたと記憶します。外国人の彼が藤村さんを指名したということは、藤村さんがヨーロッパで既に(メゾ・ソプラノ)歌手として広く認識されていたということになります。当時藤村さんは日本の音楽事務所には所属せず、ベルリンの事務所がマネージメントしてたと思います。
果たして、初めてお目にかかった時は「キリリ」とした佇まいでしたが、本当に自然体で、街中にいれば世界的な歌手だとは思わない(失礼ですかね?)かもしれないという様な印象でした。
しかし、リハーサルに入り一声出したところで一変しました。ステージ上のオーケストラも私もその声、歌に衝撃を受け電気に打たれた様でした。「トリハダが立つ、というのはこのことか」と思い、ステージ上は鳥だらけになりました。テノールのバーソルド・シュミットも素晴らしかったですが、藤村さんの歌はそれにも増して筆舌しがたく、そのコンサートはライブ・レコーディングされ発売されることとなりました。
しかし、これは藤村伝説(笑)の始まりに過ぎませんでした。 ~つづく~

館長兼芸術総監督 安江正也

 

2023年8月26日

今年の8月は台風で戻って来られない可能性があったため夏休みに合わせて東京に帰ることが出来ませんでした。こちらに赴任して初めての事ですが、毎日劇場のスタジオに通い、充実した“東海市ライフ”だったかもしれません。
9月からは私からも激推しの公演がラインナップされていますが、特に9月24日開催の「藤村実穂子メゾ・ソプラノ・リサイタル」、10月7日開催の「イザベル・ファウスト・ヴァイオリン・リサイタル」は私にとって入魂の公演です。年間通じて心血注がれた公演をお送りしているつもりですが、この2公演について、何が“特に”なのか、なぜ“入魂”なのか先ずはお伝えしたいと思います。
藤村さんの公演にしてもイザベル・ファウストの公演にしても最近よく言われているのが「名古屋でなく東海市で開催するんですね!」ということです。
世界トップ・クラスに君臨するこのお二人ですのでこう言われるのも当然かもしれません。東京、大阪、名古屋のような大都市で開催される類の公演だと思いますが、私はこの地に赴いてから「素晴らしい音楽体験が大都市に住んでいる人にしかできないのは悲しい」と感じていました。「東海市、そして近隣(結果的に隣接する名古屋も含まれますが)の方々にも是非(お手頃価格で!)同様の体験をしてもらいたい!」
これは私のこの地域に対する・・・「愛」です(笑) 
片想いかもしれませんが、私もこの地域に育ててもらいました、多くの皆さん、子どもたちに是非この「世界最高峰の音」を体感してもらいたいと思っています!!~つづく~

館長兼芸術総監督 安江正也

 

2023年7月20日

9月24日(日)に当劇場の主催事業として「藤村実穂子メゾ・ソプラノ・リサイタル」を予定しておりますが、その藤村さんのインタビュー記事が7月9日毎日新聞に掲載されていました。
藤村さんとも長くお付き合いさせて頂きましたが、今まで余りおっしゃることのなかったことをお話しされていて興味深かったです。それはキャリアの初期にヨーロッパで味わった、日本人が(西洋音楽の)歌の世界で仕事を得ていく事の難しさと悔しいを思いされたエピソードでした。また、そこから自分の道をいかにして切り拓いていったのかについてもお話しされていました。今でこそメゾ・ソプラノ歌手として、世界に名を轟かせる方ですし、ご一緒する時にはその様なご苦労があったことなど微塵も感じさせませんでした。藤村さんといえば、いつも凛として品格がさりげなく伝わってくる様な方なのです。
記事には今回お歌いになるツェムリンスキー、マーラー、細川さんの作品についても触れられていましたが、選曲の背景に先述の様なエピソードや思いがあることも初めて知りました。藤村さんの公演は、私がこの地域の方々に是非とも聴いて頂きたい、また聴くべき公演だと強く思っています。このインタビュー記事を読んで、ますますその思いは強まりました。

館長兼芸術総監督 安江正也

 

2023年3月29日

新年度のシーズン・プログラムを発表致しましたが、ご覧頂けましたでしょうか。 新年度はいつも以上に多彩で世界有数のアーティストを皆様にご鑑賞頂けることを嬉しく思っております。
年度明け早々の4月には幕開けに相応しいビッグ・アーティストが登場します。ベルリンを拠点とし、ピアノ・カルテットという形態で破竹の活躍をし続けている「ノトス・カルテット」、また、月末には私からすると“孤高のヴァイオリニスト”というイメージですが、デビュー以来日本を代表するヴァイオリニストであり続ける諏訪内晶子さんが阪田知樹さん(ピアノ)と登場します。どちらも心の底からお勧めする公演です。
また、今年度の試みとして、前から考えていたことですが、“ソワレ”、つまり夜の公演があります。 夜の時間、ナイトライフのご提案として是非「夜の劇場」を体験してみてください。「ノトス・カルテット」がその第1弾となりますが、プログラムとしても夜の公演がムード的にもピタッとくると思います。勿論、マチネ、昼間の公演の諏訪内晶子さんのリサイタルもこれぞ諏訪内さん!というプログラムですのでお聴き逃しなく。
それでは2023年度も劇場で皆様をお待ちしております。

館長兼芸術総監督 安江正也

 

2023年1月8日

新年明けましておめでとうございます。
年明けの劇場の風景は、バンドスタジオなどでは個々の団体の活動がすでに活発に行われていたり、また、各フロアのフリー・スペースは多くの学生さんたちが利用してくださったりで静かながらも活気があります。こうして皆さんが劇場を自分の“テリトリー”としてくださっているのはとても嬉しいです。
一方、劇場自体も新年1月から、「0歳からのわくわくオーケストラ」(14日)、「吉本新喜劇」(21日)や2月の歌劇「ラ・ボエーム」(2月26日)に先駆けての無料プレ・トーク(27日)があったり、また、7日土曜日には3月の「東海市民合唱団第8回定期公演」の発売も始まりドッカンドッカンやっています。ひとつひとつが皆様にとって良い体験、良い出会いになる様、全力で取り組んで参りますのでご期待ください!
あ、8日には「0歳わくわくコンサート」のプレ・コンサートで演奏する東海市子どものオーケストラのリハーサルが、14日には「ラ・ボエーム」に出演する児童合唱団、市民合唱団の演出稽古も始まります、ひえ~~~っ!!
本年も芸術劇場をどうぞよろしくお願い致します。

館長兼芸術総監督 安江正也

 

2022年9月10日

8月は杉並児童合唱団&東海児童合唱団ジョイントコンサート、東海市子どものオーケストラ定期演奏会、TOKAI ROCK FES.また合唱団、オーケストラの強化練習、合宿など盛りだくさんの1か月でした。ご時世柄様々な対策が必要でしたが今年は子どもたちの元気な笑顔を見ることが出来ました。そしてこれから「芸術の秋」、じっくり楽しめる季節になってきます。その様な中、ビッグ・ニュースです。10月1日(土)は「アンサンブル・ウィーン=ベルリンwithオーケストラ」というウィーン・フィル、ベルリン・フィル、ウィーン響という世界最高峰のオーケストラの首席管楽器奏者がソロやアンサンブルを聴かせてくれる公演を開催致しますが、日本ツアーの最終日という事もあり、新たにモーツァルトのオーボエ協奏曲が追加されるスペシャル・プログラムになりました!これはこれは、本当にスペシャルだと思います。この機会に芸術劇場で世界トップレベルの演奏を体感して欲しいです。秋の贅沢なひと時をお過ごし頂けると思います。

館長兼芸術総監督 安江正也

 

2022年6月27日

7月16日開催のアルミンク&名フィル「マーラー5」の関連イベントが終了致しました。
私も改めてマーラーについて掘り下げてみましたが、ハイドン~モーツァルト~ベートーヴェン~(シューベルト、メンデルスゾーン、シューマン他)~ブラームス、ワーグナーという18,9世紀から20世紀初頭の黄金期を包括する偉大な作曲家であることを再確認致しました。そしてその交響曲第5番には普遍的な音楽の美しさ、様々な可能性と刺激が息づいていて、それが今なお私たちひとりひとりに何かしら語りかけてくれる大きなエネルギーを持つ不朽の名曲であることを実感しました。
このあと、「マーラー5」に続くイベントとしては、7月3日(日)に名フィルのテューバ奏者、林裕人さんによる「嚶鳴サロンコンサート」(無料)が、同じく10日(日)には今年度の当劇場アーティスト・イン・レジデンスを務める名フィル団員による弦楽四重奏団、“アロイージア・カルテット”の「お披露目公演」があります。どちらも多少なりとも「マーラー5」を意識した内容になっていますのでお聴き逃しなく!!
また、極めつけは、「マーラー5」のチケットご購入の方々には前日15日の公開リハーサル、また当日はプレ・コンサートとして劇場が運営する団体のひとつ、“東海市子どものオーケストラ”によるビゼーの「アルルの女」より“ファランドール”をお楽しみ頂けます。
勿論、指揮はクリスティアン・アルミンクです!
それでは、蒸し暑い日が続きますが、皆様ご自愛の上お過ごしください。

館長兼芸術総監督 安江正也

 

2022年4月15日

 芸術劇場も新年度に入り活気づいているところですが、特に今年度は明けて早速大きなイベントが続きます。中でも今回は他にはない、当劇場ならではの刺激的なふたつの公演について書きたいと思います。
 先ずは6月12日開催の「クララ・シューマンとヨハネス・ブラームス」“音符に愛を閉じこめて”です。この公演は再演になりますが、前回開催時には声優さんがつい涙してしまった、というエピソードが残っています。それくらい切ないストーリーです。また、キャストもこれ以上望み得ないピアニスト、超人気声優さんが集結しますので涙の量は前回比の10倍だと思います。芸術的な“音楽と声”であなたの耳を喜ばせてください。
 そして、7月16日開催の「アルミンク&名フィル“マーラー5”」も聴き逃せない渾身の内容です。チケットご購入の方には更に“公開リハーサル”に入場できるというスペシャル特典も付いてきます。また、無料関連イベントも開催致しますので気合の入り具合はお察し頂けるのではないでしょうか。劇場でお待ちしております!

館長兼芸術総監督 安江正也

 

2022年2月5日

この度2月20日に予定していた藤村実穂子さんのリサイタルはピアニストのヴォルフラム・リーガーさんが来日不可能となり中止とさせて頂きました。
ピアニストを変更して、ということも検討はしてくださっていましたが、結論としては発表しました通り、「十分な芸術性を披露できない」ため、の苦渋の決断となりました。声楽家の公演は一昨年から軒並み激減していますが、その渦中でさえなお、「楽しみにして下さっている聴衆の皆様に不十分なものを聴かせるわけにはいかない」という決断をするところが「藤村さんだなぁ」と思います。そしてきっとこの渦中に藤村さんが内にため込んだ色々なものを歌に乗せこの先私たちに聴かせてくれるだろうと確信しています。
6年越しくらいになり中々成就しない藤村さんのリサイタルですが、いつかきっと、と思っております。この度はご迷惑をおかけ致しますがどうかそれまでお待ちください。そして皆様もお元気で。

館長兼芸術総監督 安江正也

 

2022年1月20日

新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
新しい年を迎えて、皆様の活動が実り多く、また、多くの感動がこの劇場で生まれることを祈っております。感染症はまた不穏な様相になってきましたが、こちらも引き続き対策を講じて安心、安全にお過ごし頂けます様努めて参ります。
さて、明るい話題をひとつ。今年度当劇場は「地域創造大賞」(総務大臣賞)を受賞致しました。全国3,400余りの公共文化施設の中で今年度4館が選ばれ、そのうちのひとつが当劇場だったというわけです。皆様の劇場をお預かりし運営している立場としては“皆様の劇場”が受賞した事を心より嬉しく思っております。また、開館以前から今まで関わってきた方々、職員、アーティスト、舞台さん、受付さん、清掃さん等々のご尽力が少しは報われた様な気持ちでおります。今後ともよろしくお願い致します。建物自体は鉄筋だったり木材だったりで出来ておりますが、そこに血が通い、体温の様なものを感じられ様になるにはやはり“ひと”。文化芸術による“ひとづくり”が当劇場のミッションですが、それが建物自体に還元されるものなのかなぁ、と感じています。

館長兼芸術総監督 安江正也

 

2021年11月23日

“芸術の秋”と言いますが、心なしか近年は夏が長く、秋になったかと思うと瞬く間に冬に、そして年末を迎えている様な気がしているのは私だけでしょうか?しかし矢張りこの秋、冬は特に音楽や美術等の芸術が身体に染み入ります。私も11月に入りいくつかのコンサートに足を運びました。どのコンサートも素晴らしかったのですが、、中には“衝撃的”に素晴らしいものもありました。この“衝撃的に”というのは私にとっても公演を企画する時に市民の皆様方にとってその様な体験になる様心掛けて願っていることです。今は東海児童合唱団、東海市紅白歌合戦の出演者たちが12月の公演が衝撃的に素晴らしいものになる様日々練習を重ねているところです。また、11月27日に先行発売となる2月20日開催の「藤村実穂子(メゾ・ソプラノ)リサイタル」は間違いなく衝撃的な体験をして頂けると自信をもっておおくり致します。是非一歩踏み出してチケットを手にしてくださいませ。
<追伸>先日小澤征爾さんが仲間内だけで弦楽アンサンブルを1曲だけ指揮したところに立ち合いました。しばらく体調を崩されていたので本当に久しぶりの指揮でしたが、涙を流しながら指揮していました。「音楽をする喜び」の涙だったと思います。が、特別な状況、事情が無くても一流の音楽家はどんな時でもこの「音楽をする喜び」に衝き動かされているものです。藤村さんは正にその様な音楽家です。

館長兼芸術総監督 安江正也

2021年6月29日

最近聴いたコンサートのひとつで印象に残ったものに「水戸室内合奏団」の演奏があったのですが、もしかしたら耳慣れない団体かもしれませんので、簡単に書くと、指揮者・小澤征爾さんの音楽仲間たちがメンバーの中心になっている室内オーケストラです。私が聴いたコンサートでは指揮者はおらず、コンサートマスターが中心になって演奏されました。小さな編成のオーケストラなら珍しいことではないのですが、「この曲は指揮者がいないと難しいでしょ?」というものもありました。が、さすがは長年仲間が集まり築き上げてきたオーケストラ、見事に演奏しました。そのメンバーの中にヴァイオリンの豊嶋泰嗣さん、トランペットの服部孝也さんがいたのですが、おふたりには東海市芸術劇場で「嚶鳴サロンコンサート」に出演してもらったことがあります。そんなおふたりが同じ舞台に立って演奏しているのを見るのはとても嬉しいことでした。
さて、その「嚶鳴サロンコンサート」が7月4日(日)16:00に開催されます。場所は1階の交流広場で、ソプラノ歌手の田崎尚美さん、ピアニストの松田祐輔さんが出演します。詳細はこちらからご確認ください!このおふたりも素晴らしいです!! 

館長兼芸術総監督 安江正也

2021年6月13日

“少”コラムとはいえ、少々少なすぎる、とスタッフからも指摘を受け、発起して書くところです(笑)。コロナ禍にあっても劇場は換気システムが整っている他、スタッフが総力をあげて様々な対策をとり、安心・安全な運営を心掛けています。その甲斐もあってか劇場内は活気が保たれています。逆に劇場をご利用頂いている皆様から元気を貰っている部分も多々あると感じています。特に最近では東海市民合唱団が名古屋フィルと共演するベートーヴェンの「第九」公演のための練習も佳境に入り、その熱心な姿と歌声に7月25日(日)の公演に増々期待が高まってきています。皆様にも是非会場でお聴き頂き、心も体もチャージして欲しいと思っております。

2020年6月7日

劇場も開館し、少しずつ以前の様な景色に戻ってきています。スタッフは皆様が安心、安全に館内でお過ごしいただけます様、随所に工夫を凝らしております。皆さんも、是非のびのびと活動して頂ければと思います。
自主公演の販売も始まりました。そして、平素より“ひとづくり”事業にご協力頂いている、名古屋フィルハーモニーさんによる市民応援コンサート(同時に名フィルさんを応援する側面もあります)を6月13日(土)15:00より大屋根広場での金管五重奏のコンサートを行います。またその後は週一回のペースで8月末まで開催していくことを検討していますので、ホームページ、館内掲示等にご注目ください。

2020年5月1日

皆さん、ご元気でお過ごしでしょうか。芸術劇場は臨時の閉館期間を延長し、5月31日まで閉館となりました。閉館はしておりますが、職員は館内で日々の仕事を進めております。「閉館しているのに?」とお思いかもしれませんが、ご来館者、ご利用者の活動が滞りなく進む様、また、今後少しでも早く社会に活力が取り戻せる様、私たちは私たちで出来ることに全力を尽くして努めているところです。
閉館している今、ご来館の皆様方の元気なお姿、お声、笑顔に私たち職員、舞台関係者、清掃さんや受付の皆が元気を戴いていたんだ、と感じています。開館して笑顔でお会いできますことを心より楽しみにしております。

2018年8月5日

記録的な酷暑が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。私は元々夏が大好きなので、冷夏はかなり悲しく過ごすのですが、ここまで暑いと熱中症で倒れてしまう人まで出てきてしまうのでいけません。個人的には連日のこの暑さに、エアコンも無い部屋で暮らしていた学生時代を思い出します。
当時、長いブロンド(金髪ロン毛ですね)のおかげで緩い勘当状態にあった私は帰省することもなく、一夏をその一室で過ごしておりました。サンセットが眺望できる部屋(西向きと言いますが・・・)で、更には御器所の昭和通りに面した立地で、窓を開ければ一瞬にして飛行場の滑走路にいるような賑やかさでしたので閉め切り、午後ともなると真夏に温室の中で過ごす様な環境でした。で、毎日の様に通っていたのが近くにあった「HORY HOUSE」というロック喫茶。夏休みには正午あたりから夕方6時ころまで粘りに粘っていたため、エアコンの涼しさに加えて、お店番のお姉さんの雪女の様な冷たい視線でかなり涼しく過ごすことが出来ました。
さて、現在では“クール・シェア”という言葉がありますが、公共の施設はクール・シェア・スポットのひとつではないでしょうか。でも、折角自由な時間を過ごすのであれば、快適で、且つ楽しく過ごせた方が良くありませんか?
劇場はまさにそんな場所としてはうってつけです。フリー・スペースが多く、書籍のコーナーもあり、更に!毎週末には何らかの催しがあり、中には無料のものもあります。8月19日(日)は1階多目的ホールでTOKAI ROCK FES.の「コンテスト」が、25日(土)には「東海市子どものオーケストラお披露目発表会」が開催され、どちらのチケットも無料です(詳細を劇場HPでご確認ください)。勿論、他にも落語公演や、バンドのライブコンサートなどもあります。
それでは、劇場でお待ちしております!

2018年7月20日

7月に入り、私自身は東海市に来て丸5年になりました。5年前に初めて東海市役所に行った日もとても暑い日だったことを思い出します。
東海市で働くようになって様々な出会い、また学ばせて頂いたことがありますが、その中のひとつに細井平洲先生とその教えがあります。最初は東海市が細井平洲先生の教えを市の色々な事業にとり入れ、また、平洲先生ご自身のこともとても敬っていると知り、自分でも少し勉強しようか、と思い、伝記的なものから、平洲先生が影響を受けた「大学」「中庸」「孔子」「孟子」などまで読み、江戸当時は勿論ですが、寧ろ現代のような時代にこそ有益な教えだと感じ、東海市が大事にするのも大いに納得致しました。まぁ、私ごときが書かずとも、直接薫陶を受けた上杉鷹山公をはじめ、西郷隆盛ほかの人物が感化されていることなどから評価は定まっていると言えるのではないでしょうか。
その細井平洲先生の生誕290年を記念して企画したのが8月11日に劇場で開催される「江戸だ 、落語だ!花火day!!」です。
江戸時代に、そして江戸で生活した細井平洲先生を偲んで、劇場で江戸文化に触れようというのがこの企画の趣旨です。江戸落語の部には三遊亭小遊三さん、古今亭志ん輔さんをはじめ、実力者が揃っての名人芸の披露に加え、元は練り歩きだったものが寄席で行われるようになった「住吉踊り」の再現も致します。
また、平洲先生縁の歌や踊りを民謡(踊)保存会や東海市民合唱団が、そして「東海市子どものオーケストラ」の演奏も花を添えます。
更には、両国橋で辻説法をしていたこと、葛飾北斎と同時代だった縁で墨田区の協力を得て、北斎の両国橋を描いた版画、隅田川花火大会の投影や、話題の「北斎記念館」のグッズ即売も併せて行われる予定です。
と、とにかく盛りだくさんのイベントですが、それでも当日の夜の「東海まつり花火大会」には十分間に合いますので涼しい劇場内で楽しく快適な時間を過ごしてからお出かけ頂ければと思います。
劇場でお待ちしております。

2018年5月14日

芸術劇場が オープンして3年目、私も7月になると東海市に来てから5年が経つことになります。太田川駅周辺の様子は5年前とは大きく変わりました。建物が建った、ということだけではなく、大きく雰囲気も変わったと思います。劇場の中はパブリック・スペースも多く、学生さんからご年配の方まで、開館の9時から閉館の22時まで多くの方が利用してくださっています。交流パフォーマンスや交流ギャラリーなど、無料のイベントもたくさんございます(スケジュールは劇場HP等でご確認ください)ので、まだ“劇場デビュー”されていない方も是非お越しください。
今回はご来場のよいきっかけとなる様な近日発売を控えたお薦めイベントをご紹介します。
8月11日(土)開催の「江戸だ、落語だ、花火Day!(でいっ!)」公演は三遊亭小遊三さん、古今亭志ん輔さんらを迎えた落語会をメインに、細井平洲先生に因んだ歌や踊り、オーケストラ演奏で花を添え、東海市が生んだ儒学者「細井平洲先生生誕290年」をお祝いする趣向になっています。江戸風情満載の中で、江戸落語の名人芸をお楽しみください。
9月2日(日)開催の「東京少年少女合唱隊」公演は世界に誇る日本を代表する合唱団の歌声が東海市で聴けます。私も何度かご一緒したことがありますが、素晴らしい!の一言に尽きます。その実力は小澤征爾氏やリッカルド・ムーティ氏など世界的な指揮者から絶大な信頼を得られていることから証明済みです。
また、8月7日(火)には東海児童合唱団と杉並児童合唱団の歌やダンス、そしてミュージカルが楽しめるジョイント・コンサートが催されます。この機会にキャラクターは違いながらも活躍中の合唱団を聴き比べをするのも楽しみ方のひとつです。
賑々しい東海市芸術劇場に是非お越しください。

2018年1月4日

明けましておめでとうございます。芸術劇場にとって3回目の新年を迎えました。
劇場という建物は来場される方の笑顔や話し声など、賑やかさ、活気があって初めて輝きます。今年も多くの皆様の感動に出会える様、スタッフ一同頑張ります。どうぞよろしくお願い致します。
この1月には“心のバリアフリー”をコンセプトにした「名フィル 0歳からの福祉コンサート」、“劇場にみんなで集まってみんなで笑おう”の「よしもと新喜劇」がございます。
是非新年の芸術劇場にお越しください。本年もよろしくお願い致します。

2017年9月24日

朝夕と秋の気配を感じる時期になってきました。個人的には夏が一番好きなので過ぎ去る季節に寂しさは感じますが、過ごしやすさはやはりこの季節です。
そして、秋といえば、食欲、読書に並んでもちろん「芸術」です。芸術劇場もトップ・シーズンへ突入でにぎやかになってきました。
「宝塚歌劇団公演」も多くの方にお越しいただき、好評のうちに終了しましたが、その一週間前には東海ライオンズクラブ45周年で昨年結団し、劇場で活動をしている「東海市子どものオーケストラ」が初めて外部の方に向けて演奏しました。一年前には演奏することも想像できなかった曲を“基礎クラス”の団員も、“オーケストラ・クラス”の団員も頑張って披露しました!
到底無理だと思われるようなことも頑張ってみれば出来るんだ、ということを改めて見せてもらいました。これは子どもたちがやったことですが、大人でも、誰でも、挑戦してみればやれることはたくさんあると思います。皆さんも過ごしやすくなったこの季節、心にある「やってみたいこと」に挑戦してみてはいかがでしょうか。

2017年7月28日

夏が大好きな私としては、この季節を思い切り味わいたい、と思うわけですが、劇場もイベントが盛りだくさんでワクワクしています。
夏といえば、個人的に、条件反射的に連想してしまうのが、かの「宮崎アニメ」です。宮崎監督のどこか郷愁を呼び起こす作風、音楽担当久石さんの少しメランコリックなメロディ、そして!名曲揃いです!!この「宮崎アニメ」のサウンド・トラックに関わっていた私としても是非皆さんにこれらの音楽、また、大人も童心にかえるようなクラシック作品を集めてお届けするのが8月27日(日)の「名フィル夏のファミリー・コンサート」です。今、その進行台本を書いているところです。
そして、8月6日(日)には関西の夏男、しかし、その実体は日本人初のウィーン・フィル奏者、現在アメリカのトップ・オーケストラ「クリーヴランド管弦楽団」テューバ奏者・杉山康人が同僚の首席トロンボーン奏者マッシモ・ラ・ローサと東海市にやってきます!このふたり兵庫県でクリニックを行って東京に戻るところを東海市に立ち寄って多目的ホールで演奏を聴かせてくれます。しかも入場料はワン・コインの500円でまさに友情のコンサートに涙です。この「夕涼みコンサート」も是非体験して欲しいコンサートのひとつです。
19、20日には大ホールでロック・フェスもありますし、皆さんも夏を満喫しましょう!!

2017年7月2日

東海市芸術劇場が開館したのが2015年10月なので1年9ヶ月が過ぎたことになります。そんな、なんの節目でも無い今、私がコラムを書き始めるのも奇異に感じられるかもしれませんが、バタバタする中で後回しにし続けてしまったのです。 
実は今まで音楽雑誌でコラムを連載するなど自分の文章を公にすることは多々あったので、書くことには慣れているつもりですが、さすがに市が運営する公共文化施設の様なところで書くようなことは無かったので、多少の戸惑いは覚えます。因みに、某音楽誌に連載していた自分のコラムのタイトルが「Life is Symphony」(前職はオーケストラの仕事でした)だったので、今回は村田英雄先生の名曲のタイトルを拝借して「じんせい劇場」にしてみました。
さて、「市が運営する公共文化施設」、そして「東海市芸術劇場」という名前・・・“お堅い”あるいは“お高い”イメージを持たれるかもしれませんね?しかしながら、現在の劇場は大ホール、多目的ホールの催し物目当てのお客様は勿論ですが、4つのフロアからなる館内に広くとってあるパブリック・スペースには勉強する学生たち、劇場内の蔵書を手にとって読書に耽るご年配の方々、各々の活動の休憩で一息つく若いお母さんと子どもたち等々、賑やかな景色と雰囲気でとても「いい感じ」です。そして、3階には劇場事務室もありますが、こちらもいつも明るく、笑顔が見られますし、舞台スタッフも同様です。
前職では日本中のホールを見てきたので言えますが、以上の様な感じではないホールは日本全国たくさんあります。東海市芸術劇場がいつまでも街の方々に元気を与えられる明るい場所であって欲しいと思っています。
前置きはこれくらいにして(!!笑)次回は少し自己紹介したいと思います。
暑さが厳しくなりつつありますので、皆様活動中の水分補給をお忘れなく。

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